当科の特長

当院では、圧迫療法(保存療法)、硬化療法、手術のすべての治療方法に対応しています。
また、下肢静脈瘤に対するすべての治療を実施できる資格を持つ血管外科医が常勤しており、患者様のニーズや症状に合わせて最適な治療法を選択しています。

下肢静脈瘤は命に関わる病気ではありませんが、薬や自然治癒は期待できません。放置すると重症化し、うっ滞性皮膚炎や潰瘍を引き起こす可能性があります。足の病気は下肢静脈瘤以外にもさまざまなものがあります。
お悩みの方はお気軽にご相談ください。

下肢静脈瘤について

人の血管には動脈と静脈があります。動脈は心臓から送り出された血液を全身の臓器に送るための血管で、静脈は臓器などに送り込まれた血液を心臓に戻すための血管です。足の静脈の中の血液は重力に逆らって心臓まで戻っていく必要があるため、足の表在静脈(皮膚に近いところにある静脈)には逆流防止の弁がついています。この弁が壊れてしまうと、血液が静脈の中に淀み、逆流が起こります。動脈の壁に比べ、静脈の壁は薄いので、逆流した血液が静脈の中に溜まると静脈がどんどんふくらみ、蛇のようにぐねぐねしてきます。これが下肢静脈瘤です。

正常な静脈弁と壊れた静脈弁・下肢静脈瘤
下肢静脈瘤の症状

下肢静脈瘤の症状は多彩です。

  • 足が重だるい
  • むくむ
  • 明け方になるとつる(こむら返り)
  • 足に色がつく
  • 足が痛い
  • 痒い
  • 湿疹ができる

このような症状がある場合、一度外来受診をお勧めします。

下肢静脈瘤の種類
  • 伏在型
  • 側枝型
  • 網目状
  • くもの巣状

一般的に治療の適応となるのが①伏在型です。
側枝型、網目状、くもの巣状静脈瘤も場合によっては治療することもあります。気になる方はご相談ください。

原因

詳しいことはよくわかっていませんが、下肢静脈瘤は女性に多く、歳を重ねるほど増えていきます。
遺伝、立ち仕事、複数回のお産、肥満などが下肢静脈瘤のリスクと言われています。

下肢静脈瘤を放置すると

決して命に関わる病気ではありませんが、自然に治ることはありません。放置して重症化すると、うっ滞性皮膚炎や潰瘍になってしまいます。このような状態になってから治療を行っても、回復が長引いたり足についてしまった色が消えなかったりします。

下肢静脈瘤の診断

医師による問診、視診を行い、超音波検査(エコー)で診断をします。超音波検査はゼリーを塗った皮膚の上から機械を当てて血液の流れ(静脈の逆流)をみる検査で、痛みはありません。超音波検査の結果によって、さらにCT検査を追加することもあります。

治療法

下肢静脈瘤は薬では治りません。治療には①圧迫療法(保存療法)、②硬化療法、③手術があります。それぞれの治療にはメリット、デメリットがあるため、静脈瘤のタイプや患者さんの状態によって適切な治療を選択する必要があります。当院では全ての治療方法に対応しています。

  • 圧迫療法(保存療法)

    弾性ストッキングで足を締めつけることにより、静脈還流をうながし足に血液が溜まるのを防ぎます。弾性ストッキングを着用することで、静脈瘤の症状がやわらぎまた軽症例の進行を予防することができます。しかし根本的な治療ではありません。

  • 硬化療法

    側枝型、網目状、クモの巣状静脈瘤に対して行うことが多いです。硬化剤という薬を血管に直接注入して血管を固めてしまう方法です。固まった静脈は1年ほどかかって次第に吸収されます。

  • 手術
    高位結紮
    足のつけ根のところで逆流している静脈をしばり、逆流を食い止める手術です。
    ストリッピング
    逆流している静脈を引き抜いてしまう手術です。病気になった静脈を取り除いてしまうので高い治療効果があります。以前はこの手術が主流でしたが、最近は身体にとってより負担の少ない手術法が選ばれています。
    血管内焼灼術
    細い管(カテーテル)を悪くなった静脈の中に入れ、血管を中から熱を加えて焼いてしまう手術です。焼いた静脈は治療後半年くらいで身体に吸収されなくなってしまいます。当院では高周波(ラジオ波)による治療を行っています。血管内に熱を加えるため、血管の周りに麻酔をして行います。
    血管内塞栓術(グルー治療)
    2019年に保険適応となった新しい治療法です。医療用接着剤(グルー)をカテーテルを用いて悪くなった静脈の中に注入して静脈を閉塞します。血管内焼灼術のように熱によって血管をふさぐ治療ではないので、火傷や神経障害などの合併症がありません。しかし、アレルギーをお持ちの方はこの治療を受けられない場合があります。
    スタブ・アバルジョン
    特殊な器具を使って小さい傷(2mm)で静脈瘤を切除する方法です。ストリッピング、血管内焼灼術や血管内塞栓術と組み合わせて行います。静脈瘤の原因となっている血管を治療しても、その周りにあるボコボコした血管はすぐには消えません。スタブ・アバルジョン法を追加することで、足がきれいに治ります。

手術は日帰りでも可能です。入院の場合は通常1泊2日です。

RFA レーザー・高周波(ラジオ波)
Venaseal Closure System (002)・グルー治療

担当医師

心臓血管外科医長

福田 和歌子 ふくだ わかこ 医師

専門医・認定など
  • 一般外科、下肢静脈瘤血管外科
  • 日本外科学会 専門医
  • 日本脈管学会 専門医
  • リンパ浮腫治療学会 リンパ浮腫療法士

基本の診療時間

午前診
9:00~12:00
(月~日)
午後診
15:00~17:00
(月~土)
夜間診
17:00~19:00
(月~金)受付終了18:30
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